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二〇一七年十月のご挨拶


仲秋の候、皆様ますます御健勝のこととお慶び申し上げます。先月のご挨拶の反響が多く、「具体的に動物薬業界が関連する仕事はどうなるのか?」という質問にお答えしようと思います。
 
 さて、その前に先日の鹿児島大学での学会のお話です。これまでにないホスピタリティでした。海外の学会は既に重たい抄録集の代わりにUSB、APPで日程、会場、抄録が見る事ができます。当たり前になっています。日本はちっとも優れていません、遅れていると最近すごく思います。
 
 もっと恐ろしい出来事に遭遇しました。ある若い獣医師に「鶏の出荷日数は?」を聞いたところ「3か月ぐらい?」という私の入社した1985年当時の日数が帰ってきました。現場を知らずに、現場に活かせる最先端研究ができるのかなと疑問に思いました。加えて「おから養豚って知っている?」という質問には、「知らないけど、ハーブ豚みたいに飼料に混ぜるのでしょう!」との返答でした。自分に関わらぬ知識は不要という「俺様」世代には昭和の古い考え方が単に合わないだけでしょうか?
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 さて、この僅か30年間でも、畜産自体も大きく変わりました。その変化の先を考えた場合、何が起こるのでしょう?またそこを探れば、今後の舵取りの大きな指針になるのではないでしょうか?
 
 まず鶏について考えてみましょう、既にレイラーもブロイラーも『工場生産体制』なので、更なる発展は難しいように思えます。しかし飽くなき生産性向上を求めるのでしょうね。レイヤーでは徹底した個体管理で、産卵率の悪い鶏は積極的な淘汰をするのでしょう。「治療」という概念が無くなり「予防」のみという最終イメージでしょう。
 
 豚は「繁殖にヒトの手がかかるから、養鶏のようには行かない!」とおっしゃる方がいらっしゃいますが、未来を考えれば養鶏のように機械化が必ず進む訳で、いつのタイミングでどんな変化が起こるのかを見極めることが大切だと思います。とにかく機械に代用できることは全て機械化されるので、移動等も何かしらの機械が登場し、それが可能な総合的な畜舎構造ができるのでしょう。色々な工場で本格導入の腰の負担を軽減する介護補助器具、2018年春まで欠品の新生子豚の鳴き声を母豚の腹ベルト振動で圧死を予防するSmartGuard、伊藤忠飼料の体重計なくとも画像処理による体重推定ソフト(写真)も凄いですね。知らないことがどんどん進んでいます。


 敷地的な問題を除外して考えた場合、豚房がなく豚舎全体の仕切りで、餌場・寝床・運動スペースとなるのでしょう。動物愛護の面も考慮したものです。個体識別用の埋め込みチップで、餌場ゲート前で毎日の体重が自動測定され、その個体に応じた餌の量が給餌されるのでしょう。そして体重だけでなく、画像・短時間動画の画像処理と音声処理からも、感染初期の体温上昇と発咳等を察知して、直ぐに別棟の隔離豚舎に移して、感染症の拡大を未然に防ぐのでしょう。隔離豚舎の豚はその後の経過次第で、戻すか淘汰を決めるのでしょう。また、分娩についても、積極的な誘発分娩が行われ、またヒト1人が張り付かずとも、画像処理による的確な指示がでるシステムになるのでしょう。
 
 ある病理の先生とお話したところ、既に画像処理ソフトの開発が進み、これまで経験がものを言っていた病理学の先生のお仕事は、病理診断ソフトに全て取られてしまうようです。先生1人の経験量よりも、データの蓄積量が圧倒的に多く、また感覚ではなく、病理変化をその細胞変化といった図形的変化、色の変化、またパターン化した分類等々で、囲碁将棋同様AIに敵わないそうです。豚を経験則から診断する精度を、数値化したデータ分析から診断する精度が越えてしまう時代がくるのです。恐ろしいような凄い進化です。
 
 牛も乳牛の搾乳ロボットはすごいもので、いつ見ても圧倒されますし、1日50-70Lもの乳が生産できるのは、既に生物の域を超えていると思います。使用管理の面でもっと機械化がなされるのでしょう。肉牛は豚以上に個体管理が徹底され、その価格差から「治療」の部分が残るのでしょう。バイオセキュリテイの面から、養鶏のように将来は肉牛工場といった畜舎構造になるのでしょうね。寄生虫薬が不要なるでしょう。
 いかがでしょうか?こんな未来に向けて、予想以上の速さで変化が起こるのです。
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 遠い将来の問題は気にする必要はありません。しかし、その過渡期として、例えばこの10年先の長期をどう見込んで3-5年の短中期を取り組んでいくのかが、まず大切だと思います。
 機械化にはお金がかかります。単純な話です。その機械化の投資ができなければ、競争から脱落してしまいます。ですから資本の小さな企業はどんどん大企業に取り込まれて、集約していくのでしょう。タイのCPグループが流通を押さえ、農場を契約農場とし、更に巨大直営工場を建設して、シェアを独占するようにです。
 
 そこに生き残るためには、負けない大規模化と機械化に備えた内部留保でしょう。しかし、最終的には巨大資本に喰われてしまうのが、世界の事例でしょう。日本にとんかつ豚肉を輸出しているメキシコも、合併や協同組合化で対抗しようとしましたが、最後は米国巨大資本にすべて買収されてしまいましたよね。もう一つは先月お話した「循環型独立型農場」です。そのためには飼料の確保が必須ですし、自前農場生産物と、食品工場の産廃等のヒト用の余剰物による、配合飼料からの独立が必要ですし、労働力は取り敢えず安い外国人労働力に頼るというものです。将来は「自給自足した独立農場」の村を作りだしていくというものです。グローバリゼーションなんか関係ありません。
 
 夢物語と笑って終わりにするのではなく、一体AIが畜産業界に何をもたらすか?特に若い世代にとって、大きな変化しか待ち受けていない時代になったのです。ワクワクできる将来に向かっていくのか、今が分岐点ではないかとも感じます。
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 日本人の良い所は、「本音と建て前」「臨機応変」「島国根性」「技術偏愛」「潜在意識にある独特な日本文化」等々があると思います。正解を見出すのではなく、こうしたいという夢を思い描いて進むことが、人生や仕事の選択のようにも思えます。皆様の夢を是非お聞きしたいです。

株式会社エコアニマルヘルスジャパン

代表取締役 石垣 克至


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